「こんにちは、クマオです!」
最近、教員のブラックな労働環境が少しずつ話題となってきました。
教員の1日の動きを簡単に言うと…
朝早くに出勤し、児童生徒の出迎え、授業、生徒指導、給食指導、清掃指導、放課後の部活動、翌日の授業準備、文書処理などに追われ、退勤するのが20時過ぎ・・・。
このような働き方をしている先生方も多いのではないでしょうか。
「先生方、本当に働き過ぎだと思う・・・。」
近年では精神疾患や過労で休職する教員も増えています。
過酷な労働状況から、教員を志望する人も減ってきています。
そんな現状から、政府は「教員の働き方改革」を進めることが急務であると明言しています。
しかし、現場の教員からすると・・・
「えっ?政策って進んでんの??」
これが正直な感想です!笑
では、なぜ状況が改善されないのか?
(正確には「改善されているという実感がない」と言うべきか…)
今日は教員の立場から、現場で感じていることやデータなどを基に、教員の働き方改革について考えていきたいと思います!
※具体的な政策とそれについての考えだけを読みたい方は目次の2から読んでください♪
※また地域により違いがあるかと思いますがご了承ください。
1.教員の働き方改革が始まった理由
① 教員の勤務時間の現状は?
まず現在の先生方がどの位働いているか見ていきましょう!
上のデータは平成18年度と平成28年度の勤務時間を比較したデータになります。
「このデータも最早古いと思うのですが…」
これから分かる通り、教員の勤務時間は以前より増加しています。
教員の1日の勤務時間は7時間45分。
毎日4時間以上の残業をしていることがわかります…。
ひと月で考えると…
4時間×20日=1ヶ月80時間以上の残業となります。
平均値が既に過労死ラインを超えている状況…。
この調査結果を受けて教員の働き方改革が急務であるとされ、施策が始まりました。
「ちなみに次の画像はクマオの1ヶ月の勤務時間です。」
1ヶ月に132時間の残業でした。
勤務時間ではなく「残業時間」ですからね?笑
この時は少し多いですが、ほぼ毎月100時間は超えています。
クマオだけでなく、多くの先生が80時間は余裕で超えています。
これが現在の教員の勤務時間の現状です。
だって勤務時間内に、先生方を帰宅させようという仕組みがゼロですからw
先生方の勤務開始が8:15。でも生徒は7:30には登校してくる。
凄いですよね。お店でいえば、開店前にお客さんを店内に入れて買い物させてるんですから!笑
勤務終了が16:45。でも部活が18:30まで。
閉店後のアフターサービスもバッチリ♪笑
勤務時間なんて、完全に無視されています!
よく「日本の先生は働きすぎ」と言われます。
「ではこれは、世界と比べるとどうなのでしょうか。」
② 世界と比較!日本の先生の勤務状況
まず、OECD(経済協力開発機構)という機関ですが…
まぁ50弱の国の共同チームだと思ってくださいw
そこの国際教員指導環境調査(TALIS)が2018年に報告書を出しています。
その報告書の一部がこちら
それによると教員の平均1週間勤務時間はOECD48カ国平均で38時間
それに対して日本は55時間
これはこの48カ国の中で最長です。
長い勤務時間がストレスに繋がっているのは間違いありません。
また「何がストレスと感じているか」というアンケートで日本の教員の答えが他国よりも高い数値を示した項目がありました。
それは
- 「事務的な業務の多さ」
- 「保護者への対応」
この2つです。
まず事務的な業務の多さについてです。
教育委員会に提出する書類は本当に多く存在します。
教育委員会や文科省からのアンケートや調査、提出する報告書などなど、学校のメールボックスには常に教育委員会から何かしらの連絡が入っています。
「これが何に生かされているのかすらわからない書類もある…」
学校のペーパーレス化はまだまだだと感じます。
もう一つは保護者対応…。
モンスターペアレントという言葉を皆さんご存知ですよね…。
無理難題を言ってきたり、自己中心的な意見を投げつけてくる親御さん。
このモンスターペアレントが本当に厄介です。
モンスターペアレントは自分がモンペであるということに気づいていないので本当に面倒くさいです…。
そんなモンペですが、近年増加傾向にあります。
モンペの増加に伴い、先生方の大きな負担となっています。
基本、親からの連絡は担任が対応します。
24時間構わず連絡してくる親もいるぐらいです…。
ストレスを感じるのは当然ですね…
「クマオは夜中の2時に電話を受けたことがあります…」
このように、教育活動以外に費やす時間が多くなってしまっているのも、日本の教育現場の大きな課題となっています。
本来は授業準備や児童生徒に関わるための時間が多くなければならないはずです。
しかし、先ほどお伝えした通り、事務仕事などに追われ、なかなか生徒のために時間を使うことができない状況です。
それはどうしてなのでしょうか…
少し詳しくお話しします。
③ 日本の先生は役割が多すぎる…
授業以外にも教員の仕事はたくさんあります。
上でもお話した通り、日本はこの「授業以外の業務」が非常に多いです。
教育委員会へ提出する書類作成、職員会議資料、保護者対応、朝や帰りの交通指導、集金の管理、給食費の回収などがあります。
コロナ以降は校内の消毒やコロナ対策も先生方の仕事です。
また、日本では学校教育の中で、人格形成や道徳的精神の育成を重視しています。
例えば、海外では業者が行う校内の掃除を日本では生徒自身が行います。
その一方で教員の仕事を増やしている原因でもあります。
また部活指導もその1つです。
日本の部活は「教育部活」の精神のもと、部活動を通して人格の形成を目標としています。
もちろん部活を通して多くのことを学ぶことはできます。
しかし、専門外の競技を持つことも多く、先生方にとってもは大きな負担になっているのも事実です。
この役割の多さが、先生方の多忙に繋がっている。
そこで業務の見直しが検討されました。
それが
- 「基本的に学校以外が担うべき業務」
- 「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」
- 「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」
この3つに分類して、教員の業務を再検討しようというものです。
教員が行わなければならないものと外部に委託できるもの・廃止できるものを明確にしていく。
これにより教員の超過勤務や多忙化を解消しようということです。
では、実際には、現在どのような対策が行われているのか。
今の働き方改革を見ていきましょう。
2.本当にやってんの?働き方改革の効果を分析!
前述した通り、先生方の仕事量は非常に多く、超過勤務の原因となっています。
そのために、文部科学省は教員の働き方改革を急務として、指針を発表しました。
その資料がこちらです。
全部で8つの項目があります。
では、それぞれの項目について詳細と、実際に行われているのか、または行われた場合効果があるのかについて書いていきます!!
① 教職員の数を増やす
教職員の数を増やすことで仕事の負担を減らそうという非常にシンプルな考えです。
しかし効果は大きいのではないでしょうか。
現在、1人当たりの仕事量が多いため、それが減るだけで時間的な余裕が生まれると思います。
しかし、現場では教員数が増えたという実感はありません。
それはなんでか…。
だってお金がかかるからw
予算がなくて加配(プラスして教員を配置すること)ができないという話の方をよく耳にします…笑
「政府のお財布の口は相当かたいみたい…」
教育関係にかけている国家予算は世界の先進国の中では下位だそうです…
人員の確保はしばらく難しそうですね…。
② 外部人材の配置
「教職員を増やすのは予算がかかるから外部人材で対応しよう!」という考えです!笑
まぁ理由としてはそれだけではなく、外部人材には教職員よりも専門的な知識を持った方もいます。
具体的にはスクールカウンセラーなどです。
スクールカウンセラーは学校によっては配置されています。
しかし小さい学校では一か月に1度ほどの訪問…。
そうなると、スクールカウンセラーに頼ることが難しい学校が多く、自分たちで対応しているのが現状です。
さらに少し前に開始されたのが部活動指導員。
部活動指導員は、部活の技術指導とともに引率もすることができるため、教員の部活の負担を軽減することができるものです。
部活動指導員についての詳しい説明は文部科学省のHPのこちらからどうぞ。
クマオも過去に専門外である野球部の顧問を持ったことがあります。
そんな時に、部活動指導員がもしいたら、その負担軽減効果は絶大でしょう。
クマオの地域にもテニスの部活動指導員がいます。
でもね…。
その部活動指導員が配属されているのが、地域一番のテニスの強豪校で、バリバリの専門顧問がいる学校なんです…。
「それじゃ…意味ないのでは…って思ってしまう私…。」
部活動指導員はまだまだ人員不足です。
手当も少なく、平日に夕方に対応できる人を探すのは困難のようです。
これから増えてくるとは思いますが、なかなか難しいと正直感じています…。
③ ICT環境の整備
現在、校務支援システムやタイムカードの導入がされています。
特に校務支援システムは、成績処理を楽にしたり、朝の打ち合わせを削減する効果などがあり、非常に助かっています。
また勤務時間の調査を行うためにタイムカードが導入されました。
現在、教員の超過勤務時間の上限は「月45時間、年間360時間」とされています。
(まぁ超過勤務を許している時点でおかしいと思うんですけどね…w)
この上限を超えないように管理できるように活用されています。
またこの勤務時間に関しては、地域によって違いはあると思いますが教育委員会に報告する必要があります。
その為、超過勤務を隠すために、残業しているのにタイムカードを早めに切らせて偽装したというニュースが全国で発生しました。
「各校の管理職が注意されてしまうからね…」
ICTで近年一番有名なのは、一人一台端末の導入です!
コロナの流行に伴い、家庭学習や教育の質の向上のために、各自治体が一気に整備を行いました。
しかし、これが本当に大変。
「端末は配布したから、あとは現場でよろしく!」
完全に現場に投げてきました。
生徒が使えるようになるための設定や活用方法の研修会、管理方法などすべて各学校任せ。
先生方の負担が急増しました。
使えるようになれば、楽なことや学習の質の向上があるのかもしれませんが、現場にとっては宝の持ち腐れ状態です…。
担当の先生は使い方をほかの先生に教えるために物凄く勉強しています…。
「若い人の方が機械系は得意でしょ?って言われてほとんど担当が若手…」
ICTやタイムカードに関してもまだまだ課題は多いでしょう…。
④ 部活動の見直し
中学校での大きな問題の1つが部活動。
平日も勤務時間外まであるし、土日も潰れます。
部活動が先生方の大きな負担になっていることは間違いありません。
そこで文科省が考えたのが、土日の部活を部活指導員に任せるという方法!
おぉ!!と思う人もいるかも知れませんが、正直に言います…。
「無理に決まってるやろーーーーーーー!なんで土日だけなの!?」
例えば想像してください。
平日の指導は先生が行います。動きの確認や作戦を練ります。
でも土日の練習試合や大会は別の人が対応します…。
指導方針が異なってしまい子どもが混乱するのは目に見えています。
作戦や選手起用を伝えるという手間が増えます。また伝えたとしても完全に伝わることは難しいのではないでしょうか。
結局、平日にも外部指導者に練習に参加してもらうか、顧問が土日に行くしかないのです…。
また土日に何かあったとき、生徒指導も外部の人がしてくれるのでしょうか?
なぜこの方針に行きついたのか…クマオとしては「?」しかありません。
ただ、今までの部活体制に大きな変化が起きることは確実です!
大きな1歩になることを切に望んでいます!
⑤ 教育課程の見直し
これは一言で言います!!
何も変わってませんw
むしろ、教えなければならない内容は年々増えています!
そんな状態で時数を減らしたら大変なことになるのは、目に見えていますよね?
これは現状無理ですね!
以上!!!笑
2.6 教育免許更新制度の廃止
2009年から導入されたのが教員免許の更新制度。
免許の有効期限を10年として、運転免許のように定期的に更新するというものです。
更新のために先生方は、夏休みや冬休みを使って90分1コマの授業を30コマ受けます。
この講習は大学などで開催されており、自分で申し込みを行います。
1日6コマを5日間で受講するのがスタンダードです。
ちなみに受講料が必要で、もちろん実費。
約30,000円…結構かかるんです…。
しかも、申し込みを忘れ有効期限を過ぎると免許を失効してしまいます。
本当に恐ろしい制度…。
学校現場で児童生徒とと関わっていた方がよっぽど勉強になる…。
しかし嬉しいことに、現在この免許更新制度が廃止の方向で進んでいるという話が上がりました。
実際、この制度で得られるものは少ないと思うので、廃止してほしい!
しかし2021年7月13日に萩生田文部科学大臣が会見で
「現段階で廃止を固めたという事実はない」
と発言…。
しかし、これから中教審などと話し合いを行い変化が起こる可能性は大きいです!
現場教員の多くが期待をして朗報を待っており、廃止が決まれば負担軽減になることでしょう。
更新情報
教員免許更新制の廃止に向けて、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案が2022年2月25日に閣議決定された。施行期日は7月1日。
「ついに、免許状更新制度がなくなりました!一歩前進!!」
詳しくは、文部科学省のHPで!
⑦ 学校向け調査の削減
目次の1.2でお話した通り、先生方の大きな負担の1つが事務仕事の多さ。
その1つの原因が国や県、市町村に提出する調査やアンケートの提出です。
もうこれは率直に、削減してほしいですw
ここ数年を見ると、少し簡素化しているように感じています!
この点に関しては、働き方改革に向けて改善がされていると思います。
現場も感謝です!
⑧ 学力学習状況調査
児童生徒の学力状況を調べるために全国で行われている統一の学習テストです。
入学直後の4月に行われることが多く、負担となっています。
準備などはもちろん現場が行います。
数年前に英語でスピーキングテストが導入されたときは地獄でした…。
生徒1人に対して、1台のパソコンが必要で、そのすべてのパソコンに必要なアプリをインストールし、マイクをセット、聞こえ具合や録音状況を調整して、データに保管をして提出…。
本当に大変でした…。
しかし、この調査に関しては、やり方や時期などを再検討し、負担を軽減することは必要だとは思いますが生徒の実態把握のためにも必要な面もあると思います。
なかなか難しい課題の1つだと感じています。
3. 働き方改革はきびしい状況…
上述した通り、学校の働き方改革は正直厳しい状況だと思います。
軽減されていることもありますが、それを上回って仕事が増えています。
1つ例を挙げるとすると道徳の教科化です。
これにより、「評価」をしなければならなくなりました。
その評価も記述によるものです。
つまり30人クラスの担任は、今までの所見に加えて、道徳所見を書かなければならないのです。
このほかにも、仕事は年々多様化しています。
しかし、少しずつではありますが働き方改革が進んでいるのは事実です。
出張が軽減されたり、削減された仕事もあります。
確実に働き方改革に向けての意識が高まっていると思います。
では、これからさらに働き方改革を進めていくためには何が必要なのでしょうか?
4. 実現のためには何が必要なの?
先ほども述べたように、現状ではかなり厳しい状況です。
でも「無理無理」言っていても仕方ありません。
実現に向けてどんなことが必要なのか考えていきましょう!
改革に向けて動く際に、クマオは次のレベルがあると考えています。
- 国レベル
- 県や市町村の地方自治体レベル
- 各学校レベル
- 個人レベル
国レベルと地方自治体レベルはどうにもできないので、そこはお偉いさんにお任せしましょうw
まずは自分たちでできることを1つずつしていくことが大切です。
何よりも、先生方の意識改革が必要だと思っています。
今の状況を当たり前とせずに、「変えていくんだ!」と考えましょう!
ぜひ、仕事を減らす努力と勇気を持ってほしいと思います。
無理なものは無理と言うこと。いらないと思うもの、効果の薄いものはカットする。
上からの変化を待っていても、遅いしイライラするだけです!
一番下で頑張る私たちから押し上げてやりましょう!!笑
「現場をなめるなよ!!!」
みんなで、労働環境を良くしていきましょう!!!
5. まとめ(一番伝えたいこと!)
日本の先生方は本当によく働いていると思います。
よく現場で使われている強力な魔法の言葉があります。
それは…
「子どものためにやる」
もちろん、我々教員は、子どものために努力をするべきです。
しかし、無責任だと言われるかもしれませんが、そのために自分を犠牲にするのは間違っているとクマオは思います。
自分に余裕がなければ、人に優しくできません。
先生方に元気がなければ、子どもにもいい影響を与えません。
なので声を大にして皆さんに伝えたいのは…
「自分のため」
「自分の子ども・家族のため」
自分の時間をしっかりと作ってほしいと思います。
そのためにも、意識を変えて、働き方改革を一緒に進めていきましょう!
「一緒に頑張っていきましょう!」
written by Kumao (@kumao_chan1217)
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